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1年前の<「花燃ゆ」放送前所感メモ>という記事で私はこんな文言を書いておりました。

“ぶっちゃけ主人公は地味ですが、幕末長州を舞台にして面白くならない訳が無い!!”

・・・この頃の自分!お前が考える最悪の長州大河の斜め下くらいのモノが来るぞ!!衝撃に備えろ!!


「吉田松陰の妹が主役」と聞いたら、「家族の目線から幕末志士を描くのか」と、誰もが思ったでしょう。
しかし、フタを開けてみれば志士の活躍は二の次で、文自身の創作話が延々と展開されるのでした。
しかもその創作が武家の娘とは思えない言動や、この題材でやる必要があるとは思えない新鮮味の無いエピソードのオンパレード!
「つまらない」を通り越してひたすら「イラつく」「不快」という、どうしようもないドラマに・・・

以下、宮本の阿鼻叫喚が続きます。



確かに、言われているように杉文を主人公にしたのが一番の原因でしょう。
それにしたって文の周りには長州藩や松下村塾など、史実をなぞるだけで十分面白い題材があふれているのだから、それをきちんと描いていればもっと重厚で面白い内容になったはず。
文が暮らしている杉家やその親戚だって、史実では十分ドラマチックです。
それなのに、なぜわざわざそれを描かずにつまらない創作でドラマを作ったのか。

そんな物は見たくない。歴史物、しかも大河ドラマなんだから、歴史人物や事件がどう映像化されるかを見たいんだよ!!
史実スルーっぷりからも、歴史人物のキャラ作りからも、まったく歴史への愛が感じられませんでした。
何度も書きましたが、特に歴史人物の描写に関しては本当に敬意を感じない、侮辱とも思えるようなものでした。
時代考証の先生方は錚々たる面々だったのに、それが活かされておらず本当に残念でした・・・


放送中から感じていましたが、この大河、何のために作られたんだろう・・・
主人公の文は不快なキャラになってるし、松陰も松下村塾もきちんと中身が描かれず、聞こえの良い台詞を吐いているだけで、まったく魅力が無い。
史実を改変してまで楫取素彦を大きく取り上げているけど、その描き方が稚拙な上、史実の良いエピソードもカットされて、これまた魅力的でない。
群馬も史実とはかけ離れた姿で、生糸の重要性や教育に力を入れていた様子がイマイチ伝わってこない。
この製作費と時間と労力があればもっと良いものが作れただろうに、本当に本当にもったいない。


そもそも「吉田松陰の妹」と触れ込む前に、まずは「吉田松陰」をきちんと世間に認知してもらわないとダメだろうと。
松陰のネームバリューを使いたいなら、村塾生の幕末・明治の活躍もきちんと描けと。
松陰が評価されるのはそれもあってだろうに・・・

長州藩はいつも大河でも民放ドラマでも脇役で、「尊皇攘夷の過激な勢力」的な描かれ方の印象しか受けないので、今回は長州藩が何を考えどう行動したのか、じっくり描く絶好の機会だったのに、それが果たされず返すがえすも残念でなりません。
志士を描くなら、当時の政治情勢や思想を詳しく描けと。現代人が見れば共感できない部分も多いでしょうが、いいんだよ別に、客観的に見て理解できれば。
現代とは違う価値観の世界を楽しむのが歴史物の醍醐味というもの。
歴史に詳しくない人のために難しい歴史は描かないのなら、初めから大河で歴史物をやるなと。


女性主人公の幕末・明治大河といえば、『八重の桜』と比べたくなるので書きますが、
あちらは覚馬や容保達を通してきちんと幕末情勢が描かれていて、とても見応えがありました。
しかも鉄砲について描くのにアメリカ南北戦争から始めたり、歴史を知ってるとニヤリとできるネタがいくつもあったりして、歴史への愛を感じました。
創作部分も、ちび新島襄が象山塾に来たり、松陰と覚馬が会ってたり、「ありそうだな、あったらいいな」と思える、見ていて気持ちのイイものでした。
まぁ、色々不満を言えばキリがないですがw

『花燃ゆ』だって松陰や久坂を通して長州について色々描けたはずなのに・・・あ、もういいです・・・・・・
ぶっちゃけ長州の描写は『八重の桜』の方がマシだったんじゃ・・・。(世良は悪役にしすぎでしたが)
本当にさ・・・『八重の桜』長州版みたいなクオリティを期待してたんだよ・・・・・・


さて、お通夜モード一辺倒でもいけません。
批判ばっかもアレなので、良かった事を挙げてみましょう。れっつぽじてぃぶ!

・OPがかっこよかった
・第1回のちび松陰のシーンが良かった
・第4回の切腹しようとする梅太郎に亀が語りかけるシーンが良かった
・松陰のビジュアルが良かった
・「歴史にドキリ」と「世界へGO!」が面白かった
・史実を調べて詳しくなれた
・大河展で史料をたくさん見られた
・関連本が色々出版された
・1年間長州&群馬について語れた

第1回が一番マシでしたね。あれを見た時は「本や教育をテーマにしていくのか」と新鮮に感じたんですが、
その思いは早くも第2回で粉砕されました・・・・・・
放送前に期待していた長州×川井憲次×池田秀一も、どう見てもアツイ作品が出来上がる組み合わせなのに、本当に無駄遣いだった・・・・・・

しかし、山口から遠い関東の人間にとって、関連史料が一堂に会した大河展は本当にありがたいものでした。図録も凝っていてイイ!


史実絡みで大きな収穫だったのは、楫取素彦について詳しく知れた事ですね。
あ、「ドラマで」じゃないよ、「ドラマをきっかけに史実を調べて」だよw
以前は「松陰の親戚で、後から初代群馬県令だったと知ってびっくりしたw」程度の認識だったのですが、
調べてみると、宮本の「“地味だけど色々仕事してる志士が好き”センサー」にバッチリ引っ掛かって、評価がうなぎ昇りです!
ちなみにこのセンサーには吉田稔麿・中岡慎太郎・土方久元なども引っ掛かっています(笑)

特に印象的だったのは、
1・様々な藩外交渉に赴いている点
2・妻・寿とのおしどり夫婦エピソード
3・詩歌を多く遺している点
辺りですが、ドラマでは「1」は多少描かれたものの、「2」は妻ほっぽって美和とイチャこいてたイメージばっかだし、「3」に関しては完全スルー。
楫取に限らず、幕末志士の詩歌はもっと取り上げられて欲しいなあ。ドラマでは松陰や高杉のがちょこっと出てきましたが。

話を戻しましょう。せっかく調べた楫取の史実も、ドラマでは無視されたり改変されたりしてほぼオリキャラ化・・・
各話感想で何度か書きましたが、お人好しに描こうとして逆にアホっぽくなってたり、偉そうに上っ面な弁舌をふるってるのがホントひどい。
ネットの感想で「他の歴史人物の功績を横取りしてる」だのなんだのさんざん嫌われているのを見るのは、
とても悲しかったです。
史実の楫取はこんなんじゃないんだ・・・!地味だけど愛妻家で味のある人物なんだよ・・・!
どうして史実の魅力的なエピソードを描かずに、テキトーな虚飾で人物を描くのか。他の人物に関してもそうですが。

特に吉田松陰と楫取素彦を大きく取り上げて、あれだけ「至誠」「至誠」言っておきながら、松陰が楫取に「至誠」の書を渡した話をスルーしたのが信じられない。
信長と光秀をメインで出しておきながら、本能寺の変やらないレベルw(?)
寿との夫婦エピソードも大幅に無視して美和と「運命の人」設定にするのも、常識的に考えて失礼にも程があると思う。
そもそもそれやると、楫取の印象的なエピソードが描けず、美和と久坂の関係も希薄になって「涙袖帖」のエピソードも説得力が無くなり、メインキャラ2人の魅力が損なわれる事になるんですが、どういうつもりだったんでしょう?

その久坂の描写もムチャクチャにひどかった。
今更になって史実久坂の良さをひしひしと感じていて、それがドラマで描かれなかったのが本当に惜しい!
眉目秀麗で美声でリーダーシップもあって・・・と、高スペックキャラになるはずが、なんであんなヘタレキャラに・・・
ちなみに本作で一番配役が合ってなかったと思いますが、史実と違う姿を演じさせられる役者も気の毒でした・・・
余談ですが、久坂は味方陣営でもイイんですが、「己の信念のために戦っている熱血クールなイケメン敵役」もハマりそうだなぁ。


なんのかんの言っても、一番史実を改変されて気の毒なのは文=美和さんですね。
松陰や椋梨にわめき散らしたり、かなり無理のある設定で奥に入ったりと、何度ドン引きした事か・・・
そんな非常識な主人公を周りがヨイショするのは本当にイライラした・・・
つまらない脚本でも笑えるツッコミどころがあればまだ明るく見られるんですが、
これはそういうところが無くて、ひたすらひたすら不快だったんだよな・・・。
そして最も忌々しい「運命の初恋の人」設定・・・・・・。なんでこんな大河作ったんだろう・・・・・・
ホントに、歴史や歴史人物を描くなら、きちんと敬意を持って描いてほしいものです。


・・・あれ?良かった事を挙げていたはずが、いつの間にか不満意見に!?
くそっ!これが花燃ゆの魔力なのか!?



シメに放送前の宣伝文句を振り返ってみましょう。


・「4つのドラマ」とは何だったのか

ホームドラマ・・・杉家の個性が出ていない。滝の功績や民治の再婚、乃木兄弟との関係など、
         面白エピソードをスルー
学園ドラマ・・・塾生のキャラが一部の人物しか立っていない。
         看板と共に掛け声をかけるのが運動部みたいで変
女たちのドラマ・・・美和の奥入り時期を改変。あり得ない言動をしまくる美和や銀姫たち
男たちのドラマ・・・あまり描かれず。描かれてもショボかったり改変多し


・「俺ら松下村メン!」とは何だったのか

吉田松陰・・・ビジュアルは良かったが、イマイチ思想が描かれず、やたら美辞麗句を語る。
        何故か獄で幼い妹に叱咤される
吉田稔麿・・・活動がほとんど描かれず、初期の江戸勤務も無視。妹の情報を改変され、父の存在を
        抹消される。が、最期は他のドラマに比べ史実に近かった
久坂玄瑞・・・活動があまり描かれず、ヘタレキャラに改変される。
         史実と合ってるのは長身で見た目が良い事くらい?
高杉晋作・・・比較的マシだったが、やたら「つまらん」「おもしろい」を言わされる。
         妻が変なキャラにされる
入江九一・・・比較的マシだった?あまり詳しくないので不明
野村 靖・・・比較的マシだった?あまり詳しくないので不明。留魂録エピはちゃんと回収
寺島忠三郎・・・活動がほとんど描かれず、「食いしん坊」以外のキャラが分からない。
          最期は一応、久坂と自刃
赤根武人・・・ちょくちょく出ていたが、有名な最期がドラマ内で完全にスルーされ、いつの間にか退場
前原一誠・・・イマイチ思想や活動が描かれず、萩の乱もよく分からないままに終了
松浦松洞・・・ただの絵描き好きの商人に改変され、最期も暗殺に失敗して自刃する改変。
        この中で一番扱いが酷いと言っても過言ではない
伊藤博文・・・配役は良かったが、あまり活動が描かれず、いてもいなくても良さそうな存在

そういえば品川が入ってないのは何故だ・・・


ところで「もゆるん」って意味あったんだろうか・・・。
個人的にはマスコットキャラよりドラマの中身にお金を掛けて欲しかったんですが、人気の程はどうだったんでしょう。

あと例の「幕末男子の育て方」って何だったんでしょうね。
例えば文が勤皇少女で、塾生を励ましたり支援してたならまだ分かるんですが、劇中ではおにぎり握って平和な塾を望んでただけで、「幕末男子」らしい政治活動には理解を示してなかったよな・・・



あー、怒りが収まってふと我に返ると、なんで待ちに待った長州大河がこんな作品になってしまったのかと悲しくなってきます・・・

NHKは好きな番組もたくさんありますが、この大河に関しては絶対に許さん(笑)
人災とでも表現したいこの大河を絶対に忘れてはいけません。・・・いや、忘れたいけどw
もう2度とこんなドラマが作られませんように。
この精神的ダメージを払拭する、素晴らしい長州大河が必ずや作られますように。

来年の真田は特に思い入れはないので、まったり平和に見られるかな・・・w


さて、結果的に好意的な感想が少なくなってしまい、1年間色々失礼な表現で批判してしまいました。
ドラマの制作に関わった方やファンの方には申し訳ありませんが、これが私のオブラートに包んだ偽らざる気持ちです。
あ、史実解説については注意して書いたつもりですが、素人が調べた事ですので正確さについては保証できません(笑)。
『花燃ゆ』自体の感想はこれでおしまいです。最後までお読み頂き本当にありがとうございました。

P.S. まだあと3回ほど関連記事があります(・∀・)




最後に叫ばせてくれ!


史実の長州&群馬は面白いんだーー!!!
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