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■副題:「二人の再婚」
■年代:1882年春?~1883年7月?  美和=41歳 楫取=55歳



嗚呼、今回の脚本の異常性を表現したいんですが、上手い言い回しが思い付かない・・・


とりあえず、ひたすらツッこんでいきましょー。




まずは年表からチェック。ドラマで出たものは太字。


【明治15(1882)年】

10月◆道明(久米次郎)の三男・四郎が夭折

12月◆楫取が勲四等に叙され旭日小綬章を賜る


【明治16(1883)年】

4月◆美和、久坂家から杉家に復籍

5月◆前橋大火
    美和、前橋着
    楫取、辞表を提出

6月◆楫取と美和、入籍
    楫取の留任運動が起こる
    楫取、勅任官に昇進

8月◆美和の母・滝に羽二重が下賜される

9月◆道明(久米次郎)の娘・刀美子が誕生

11月◆鹿鳴館が開館

12月◆上野-新町間の鉄道が開業(県内初の鉄道)


今回もまったく別世界の話ですが、とにかくツッコミどころが多すぎました・・・
つーか、年の表記が無くて劇中が何年何月なのか分からん!


美和に自由に活動して欲しいので、自分で家事をやろうとして失敗して魚を焦がす楫取。
いやいやいやおかしいだろ!そんなベッタベタな寒い展開、今時現代ドラマでもやらないよ!
つーか再婚云々以前に女中を雇え!!
美和が萩や東京に行ってる間、楫取はどうしてたんだ!?宅配ピザでも頼んでたのか!?
県庁で並べと言われて並ぶ話といい、イイ人に描こうとしてアホキャラにするのやめてくれ!


なぜか今頃、秀次郎が久坂家を正式に継ぐとか言ってますが、それとっくの昔の話じゃないか?
史実通りフツーに実家に帰せばいいのに・・・。
フサと すみ が出てきましたが、近況話してただけで、何のために出てきたのかよく分からん。
若い娘がキャッキャ話してる様に見えますが、1883年時点の年齢はは美和(41)、すみ(37)、フサ(32)です。

前もちょっと触れましたが、フサは子供が4人と言っていましたが、実際は子は無く孫が4人。
フサは義久という婿養子と結婚しますが、子供のいないまま大正10年に義久は死亡。
なので義久の甥の市右衛門を養子にし、市右衛門と妻・フミの間に4人の子ができます。
ドラマの時点だと義久はまだ存命で、子供はいないはずですね。
フサは昭和7年に81歳でこの世を去りました。
母のイクはドラマの2年後の明治18年に亡くなっています。
そいえば、フサは史実でも杉家と交流があったっぽいですね。
入江すみの再婚時期はよく分からん・・・

美和は滝に「久坂が忘れられない」と言っていましたが、いや、絶対忘れてただろ!ドキドキお泊りとかしてただろ!(笑)
そしてわざとらしく久坂の手紙を燃やそうとする美和。
おいおい、史実ではちゃんと再婚の時に持って行ったのに、何度歴史人物を侮辱すれば気が済むんだ!?
あと、阿久沢せいが再婚の件で県庁に押し掛けたり、入籍したらみんなが仰々しく祝福する展開とか、
ホント品が無い・・・

そもそも民治の再婚を描いておけば、美和の再婚も自然にやれたんだよ!
杉浦アナに「亡くなった兄弟姉妹の配偶者と結婚するのは、昭和の時代まで良くある事でした。」と、ナレーションを入れてもらえば良かったんだよ!(朝ドラ風)


ドラマでは能天気な前橋の面々でしたが、史実では大事件が起きています。
明治16年5月1日、前橋で大火災が発生、街は炎に包まれた!!
・・・といっても、資料が無くて詳細が分からんorzいつか図書館で調べたいね・・;
とりあえず、美和が再婚のため久坂家から杉家に復籍し、前橋へとやって来たのはそんな時期でした。
明治5年から務めている地方官の勤務が、任期の12年になっていた楫取は、4月には既に退任を考えていたようですが、この大火の復興のため、もうしばらく留まる事にしたらしいです。


ところで、美和の母・滝は松陰の母として有名だったらしく、この年の8月には、なんと皇室から羽二重が下賜されています!
なぜそれをドラマで描かない!ホントに「杉家の」ホームドラマを描く気があるんですか?
「小さかった親戚の子が大きくなって挨拶に来たよー」とか他でいくらでもできるだろうが!
滝にはその後も皇后陛下から菓子や縮緬が下賜され、明治23年に亡くなった時も百円が下賜されています。
・・・はっ!「お菓子を下賜」・・・!(黙れ)


さて、今頃になっていきなり鉄道を敷く話が出てきました。
前回の感想でチラッと触れた時は「民間で資金を集めて鉄道を通した」と漠然と捉えていたのですが、
よくよく調べてみると、「日本鉄道会社」という会社が作られてたんですね。
つーかこれで1本ドラマ作れるレベル!

日本鉄道会社は明治14年に設立され、翌年、埼玉の川口から工事が始まっています。
明治16年12月には上野から群馬の新町まで開通しています。
ドラマでは「鹿鳴館で鉄道の資金を募る」みたいな事を言っていましたが、鹿鳴館の開館が明治16年11月、それからしばらく経ってるようなので、少なくとも12月になってると仮定すると・・・
大丈夫です!とっくに資金も集まって、じゃんじゃん工事も進んで、もうすぐ新町まで通りますから!
・・・と思ったら、再放送見直したら再婚直後に招待状が来てるぞ・・・。また時空に歪みが・・・

明治群馬は生糸・教育・鉄道と、マトモにやればちゃんと面白いのに、本当に素材の無駄遣い・・・・・・
つーか、なんで招待状の差出人が「鹿鳴館」なんだw
そして何故か美和のドレスまで用意してあるという・・・。怪しすぎる!これ絶対ドッキリだよ!!


・・・ひと通りツッこんだところで、気分を変えましょう。
ドラマの楫取はなんかもうアホみたいですが、実際はそんな事ないですよ。
前回紹介した、楫取邸に泥棒が入った話ですが、漢詩が気になったので訳してみました。
原文は『楫取素彦伝』を参考に、読みやすく整理しました。
言うまでもなく宮本はド素人なので、これが合っている保証はありませんw雰囲気だけでも感じて下さい・・・


辛巳二月十五日夜 有盗窺居室
家傔将捕之 而彼抗拒甚
急余助之 以縛戯賦

青年利器戴秋毫
回想当年頭屡掻
老腕猶忻堪可用
空拳忽捉緑林豪


明治14年2月15日夜、部屋の中を窺う盗賊あり
使用人がまさにこれを捕えようとした。しかし彼の抵抗は甚だしい
急ぎ余はこれを助け、捕縛したのを以って、戯れに詩作する

青年時代はいささかの利器を戴き
当時を回想してしばしば頭を掻く
老腕はなお用いるに堪えるを喜び(??)
空拳はたちまち盗賊を捕える



寿の死から2週間ちょっとしか経ってないですが、使用人と共に泥棒を捕縛!
そしてサクッと詩作!このオッサンすげー!(笑)
なんで「緑林」なんて言葉が出てくるのかと調べたら、盗賊を意味するようですね。
昔の人の国語能力はホント凄い・・・


うーん、今回も長くなってしまいましたが、つらく厳しい花燃ゆ視聴修行も残りあと1回!
苦難を乗り越えた時、人はまた一歩高みへ登るのだ!(何の?)



以下、らくがき。







※イラストの歴史人物は、宮本のオリジナルイメージを使用しており、役者とは関係ありません。
※一部、歴史人物名や用語は、宮本が使い慣れたものを使用しています。
※文中の年齢表記は原則として数え年です。
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